矯正装置には、患者が取り外し可能な可撤式タイプのものと、自由に取り外すことの出来ない固定式タイプのものがあります。
可撤式タイプのものは、清掃がしやすいため、衛生面が優れていますが、矯正装置に違和感や痛みがある度に外してしまうと矯正の効果は薄れてしまいますので注意しましょう。
固定式タイプのものは、可撤式タイプと比較して清掃しづらいため不衛生になりやすい他、医師にしか取り外しが行えないため、多少の違和感や痛みを感じても取り外すことができません。
しかしその分確実に矯正効果が期待できるタイプです。
矯正装置には可撤式と固定式の違いの他に、ワイヤーやゴムなどといった器械力に頼って矯正をする器械的装置(唇側矯正)と、口腔周囲筋などの機能を利用する機能的装置があります。
・マルチブラケット装置
個々の歯の位置関係を治す装置で最も一般的な装置です。
ワイヤーを通しゴムなどで固定させることにより、歯を引っ張り矯正します。
昔は、金属ブラケットしかありませんでしたが、最近はプラスチックやセラミックなどの素材のブラケットもあります。
プラスチックブラケットは強度に弱くセラミックブラケットは強度が強すぎるといったデメリットがありますので、歯の状態や、矯正の程度を鑑みて使用する素材を決めましょう。
他に、リンガルブラケット(舌側矯正)という歯の裏側に矯正装置が配置されるブラケットもあります。
見た目は矯正装置が見えないため美しいのですが、話しづらいというデメリットもあります。
機能的装置は、顎の位置を変えていくことで成長を誘導します。
バイオネーターやフレンケル、リップバンパー、バイトプレート、ジャンピングプレートなどがあります。
殆どのものが可撤式です。
器械的装置と機能的装置の他に、マウスピース矯正とういものがあります。
ブラケットなどを使用せずに矯正できるタイプで、口腔内の違和感がなく、目立たない上自分で気軽に取り外しができる利点があります。
但し、マウスピース矯正を行えるのは、軽度の乱杭歯などに限られ、装着時間も1日20時間以上必要となりますので、矯正が完了するまでに長期間を要します。
そのため、事前にブラケットなどで部分矯正を行った後に、マウスピース矯正へと切り替えるのが効率的と言えるでしょう。
歯の移動により、顎を拡大させる装置です。
歯列の幅が狭い場合に歯列を拡げる方法です。
急速拡大法は、矯正力が強すぎるため、歯の移動は起こらず、上顎の真ん中辺りにある正中口蓋縫合が開くことにより、上顎骨そのものが横に拡がり重なった歯が離れていきます。
2週間程度の短期間で治療が行える他、子供のうちの治療は痛みを伴わないという特徴があります。
適応年齢は15~18歳と言われています。
100年以上も昔から行われている伝統的な方法で、長期(3~6ヶ月程度)にわたり微弱な力を加えることで、歯列を拡げる方法です。
間の歯を抜いた際等に後方の歯が手前に来ないようにする装置です。
(顎の幅を拡げることも可能です。)
他にリンガルアーチ等があります。
バネの力を使って奥歯に奥に押し出します。
一時的な反動として前歯が前に出てくるという現象が起こりますが、ペンデュラムを外すと元に戻りますのでご安心下さい。
他にGMD等があります。
・リテーナー
保定装置です。
矯正装置が外れた時に、歯が元の場所に戻ろうとするのを防ぐ装置(保定)です。
ワイヤーのリテーナーや透明のリテーナーなどがあります。