それでなくても行くのがイヤなのが歯医者さん。
ましてや親知らずの抜歯となれば、絶対に行きたくないという人が多いのではないでしょうか。
しかし、まっすぐに生えていない親知らずや、すでに虫歯になっていたり、周囲が炎症を起こしていたりして、腫れたり痛くなったりした親知らずは、抜歯するのが最も確実な治療法。
一度抜いてしまって傷口がちゃんとふさがれば、その後、一生、親知らずのトラブルに悩まされる心配はなくなります。
それでも、どうしても抜きたくない、抜歯されるぐらいなら、死んだ方がマシという場合はどうしたらよいでしょうか。
親知らずがまっすぐに生えていたり、健康な場合、虫歯になっても小さいのならば、予防的ブラッシングと、親知らず周囲の歯茎の修正や、歯と歯茎のすき間部分の洗浄などの対処法で抜歯を先送りすることもできます。
次に、腫れや痛みなどのトラブルが起こった際、抜くか抜かないかを判断するのは、その親知らずが、歯としての機能しているか、ちゃんと噛めているか、その後歯磨きなどのケアがきちんとできる位置がどうかが判断基準となります。
噛みこむ相手の歯(上なら下、下なら上)がなかったり、斜めに生えていて、満足にかむことができないのに、虫歯や歯周病になって腫れたり痛くなる場合には、歯としての働きよりも痛くなったり腫れたりするためだけに存在していることになります。
このため抜いてしまう可能性は高くなります。
虫歯になっていても、歯としての働きをしている場合には、虫歯が大きくなければ治療して残すこともあります。
しかし、抜歯がどうしてもいやでも、抜かなくてはならないときはあります。
まず、親知らずの腫れが繰り返されるときです。
1度腫れて、腫れが治まって少し時間をおいてから再び腫れることがあります。
短期間(1〜3ヶ月)に腫れることが繰り返されるときは、思い切って抜くことが勧められるでしょう。
物が挟まりやすく、親知らずの前の歯が虫歯になりやすいときなど、親知らずよりもその前の歯に悪い影響が出る場合は、前の歯を優先して保護するために親知らずを抜くことが勧められます。
抜歯がコワイばかりに放置しておいて、大切な奥歯を失ってしまうこともあります。
また、虫歯が大きく、治療器具が入らないようなとき奥の方である場合も、治療器具が上や下の歯にぶつかって、治療ができなかったりするので、やはり抜くことがいちばん確実な治療法となります。
また、親知らずは生えてくるスペースがないと、他の歯を押して出てくるときがあるため、正常な歯並びを乱してしまうことがあります。
こうした場合も、歯並びを保護し、健康な歯を守るために親知らずを抜かなければなりません。
そもそも歯はすべて、私たちの健康や生活に大きな影響を与えるものですが、親知らずは、その名の通り、大人になってきてから生えてくる歯であり、さまざまなリスクを持った歯であるため、他の歯よりも、健康や生活や、人生に大きな影響を与えることがあります。
大切な試験や仕事、あるいは結婚式、妊娠、出産、子育てなど、親知らずのトラブルに悩まされて、人生設計が狂ってしまう危険性もあるのです。
抜歯せずにトラブルを抱えたまま歳を取っていったら、歯全体の健康を損ね、自分の歯を失うことになったり、インプラントやブリッジなどの高額な治療が必要になったり、入れ歯になってしまうこともあります。
親知らずを抜歯するのはコワイかもしれませんが、抜歯するリスクと、抜歯しないリスクを比べて考えてみてください。
あなたの親知らずなのですから、決断するのはあなたです。